日本は地震、台風、土砂崩れなど、さまざまな自然災害が起こりやすい地理的環境があります。実際に災害が起これば、物流は止まり、必要なものが入手できなくなることもあるでしょう。

しかし、心臓や脳など私たちのからだの活動は、平時でも災害のような有事でも止まりません。そこで、万が一の事態に備え、災害が起こる前から自身のからだを守るための知識と準備を持っておくことが大切です。

この記事では、医学的エビデンスに基づき、女性の災害への備えともし災害が起こったときの対応について解説します。

この記事のポイント

  • 災害時は生理用品などの物資が不足しやすいため、使用期限を管理しながら日頃から備えておくことが重要
  • 体を冷やさないためのブランケットや防犯ブザーなど、防災グッズを用意しておく必要がある
  • 災害による強いストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こすため、まずは心身のケアを最優先にする

災害を見据えた女性にとっての備え

災害に備えて、食料や生活用水などを備蓄している人もいるでしょう。一方、女性のからだを守るためには、食料以外にも準備が必要です。

生理用品

災害時の備えとして、食料や水は意識しても、生理用品を忘れてしまいがちです。「まさか自分が避難所生活をするとは思っていなかった」という状況は、いつ誰にでも起こり得ます。

しかし過去の災害では、避難所での生理用品不足が実際に報告されており、物流がストップすると入手が困難になることがあります。生理のタイミングは選べません。いざというときに手元にないという事態を避けるためにも、非常用持ち出し袋への備えと、自宅での多めの備蓄を日頃から意識しておくことが安心につながります。

その他に備えておきたいもの

生理用品のほかにも、避難所などでの生活を見据えて、以下のアイテムを防災バッグに加えておくことがおすすめです。

  • 防犯ブザー(ライト付きのものなど)
  • ブランケット(寒さ・冷えをしのぐもの)
  • ブラトップ
  • カイロ

災害時、不特定多数の人が集まる避難所では、プライバシーの確保が難しくなることがあります。着替えの負担を減らすブラトップや、夜間の移動時などに身の危険を知らせる防犯ブザーは、女性の守る一助となります。過去の大規模災害では、避難所や仮設トイレ周辺での性被害が報告されており、防犯ブザーはそうしたリスクへの備えとしても有効です。

また、女性のからだに「冷え」は大きな負担をかけるものです。季節を問わず、体温を調整できるブランケットや、お腹や腰を温められるカイロを備えておくことで、厳しい環境下でもからだへのダメージを和らげることができます。

もし災害が起こったら?平時に覚えておきたいストレスと婦人科医療の知識

事前の備えをしていても、実際に災害に直面したあとは、想像以上の環境変化が待ち受けています。ここでは、万が一の事態が起こったあとの女性のからだの変調、女性を支える医療体制についてお伝えします。

災害ストレスによるホルモンバランスの乱れ

災害時の強いストレスや避難所の環境は、女性のからだに直接的な影響を与えることがあります。脳の視床下部はストレスに敏感であり、強い不安や緊張状態が続くと自律神経が乱れ、結果として女性ホルモンの分泌に影響を及ぼすからです。

実際、東日本震災のあと、被災地では生理不順や無月経を経験する女性が増加したという報告があります。

災害という非常時においてホルモンバランスが乱れるのは、からだがストレスから自身を守ろうとする自然な生体反応で、周期が乱れることもあります。

災害時も医療を提供。産婦人科ネットワークの連携

もし通院しているクリニックが被災した場合、「治療が止まってしまうのではないか」と不安になるのは当然のことです。こうした状況で自分が取れる行動を整理しておきましょう。

被災時に自分でできること

  • かかりつけのクリニックに連絡が取れない場合は、都道府県または市区町村の保健センター・保健所に相談する
  • 避難所には保健師が常駐する場合があり、医療機関への橋渡しを頼ることができる
  • 薬が手元にある場合は、お薬手帳(スマホで撮っておいた写真でもOK)を持ち出しておくと、被災先でも処方の継続がスムーズになる

(参考:厚生労働省「災害時小児周産期リエゾン活動要領」/日本産婦人科医会)

まとめ:いざというとき、焦らず自分自身のケアを

災害への備えとは、物理的な防災グッズを用意することだけではありません。「いざという時の心身の変化」や「医療体制の知識」をあらかじめ知っておくことも、自分を守るための行動の一つです。

万が一の際、強いストレスで生理不順になったり、治療が一時ストップしたりしても、過度に不安になる必要はありません。日本の婦人科医療には、産婦人科医のネットワークなどによる強固なバックアップ体制が整っています。

もし災害に遭ったときは、医療機関のセーフティネットを活用しつつ、自分と家族の安全、心身のケアを最優先にしてください。

参考・出典

  • 大王製紙 エリエール「よくあるご質問」
  • 株式会社防災ダイレクト「女性のための防災グッズ7選」
  • バリアフリー防災「女性視点での防災」
  • 日本産科婦人科学会「3. 災害ストレスと疾患」
  • 日本産婦人科医会「3.災害急性期の小児・周産期医療と災害時小児周産期リエゾン」
  • 日本産婦人科医会「2.物資支援の実際」