「生理は女性の話」──そう思う男性もいるかもしれません。学校でも、家庭でも、生理中の女性にどう接すればいいか、具体的に教わる機会はあまりないこともこういった思いに影響しているのだと考えられます。
しかし、生理の仕組みを少し知るだけで、パートナーや身近な女性との関係性は大きく変わる可能性があります。無理に「理解してあげなきゃ」と身構える必要はありません。正しい知識を持つと見える景色がどう変わるのか、その視点から生理についてひもといていきます。
この記事のポイント
- 生理は新たな命が産まれるために不可欠なプロセスである
- 生理による不調は個人差が大きい。また社会全体で受け止めるべき課題でもある
- 男性が理解することが、自然なパートナーシップのサポートに繋がる
生理とは?赤ちゃんのためのベッドをつくるメカニズム
生理は、赤ちゃんが産まれるために欠かせないプロセスです。それはどういうことなのでしょうか。解説します。また、女性の生理は社会で受け止める課題でもあり、その詳細も取り上げます。
出血や痛みの正体
生理(月経)とは、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が、妊娠が成立しなかった場合に剥がれ落ち、血液とともに体外へ排出される仕組みのこと。子宮内膜とは、女性のお腹にいる赤ちゃんのためのベッドに当たるものです。
つまり生理は、人間が新たな命を育むために欠かせない自然なプロセスなのです。
生理中は、下腹部の痛みや頭痛、腰痛などが起こりやすくなります。また、生理が始まる数日前〜1週間程度前から、イライラ感や気分の落ち込みなどの「PMS(月経前症候群)」が現れることもあります。
ここで重要なのは、症状には非常に大きな個人差があるという点です。起き上がれないほどつらい痛みを感じる人もいれば、比較的軽く済む人もいます。ある生理中の女性を見て「他の人は平気そうなのに」と思うかもしれませんが、特定の誰かを基準にはできないということです。
個人の問題ではなく「社会全体の問題」である
生理に伴う不調は、決して女性個人の我慢で乗り切るべき問題ではありません。経済産業省の調査によると、月経に伴う症状による労働損失は年間約5,700億円に上ると試算されています。これは、社会全体で向き合い、サポートしていくべき課題であることを示しています。
また、世界保健機関(WHO)も、月経に関する健康を単なる個人の衛生問題としてではなく、人権や公衆衛生における重要な課題として、社会全体で取り組むべきだと提唱しています。
8割の男性が「知識不足」。データで見る生理とパートナーシップ
多くの男性にとって、生理はまだ「よくわからないもの」であるのが現状です。日本財団が行った調査では、生理に十分な知識があると感じている男性はわずか17.8%にとどまり、8割以上が知識不足を自覚しています。
一方、生理やPMSの情報をSNS等で見たことがある男性の45.8%が「パートナーをサポートするのは当然」と回答しているのに対し、見たことがない男性ではその割合が18.5%にとどまりました。
つまり、知識を得ようとする男性ほど、パートナーをサポートする姿勢があるとわかります。
女性が生理中にしてほしいこと──データが示す「そっと見守る」という選択
実際に、生理中の女性はパートナーにどんな対応を望んでいるのでしょうか。
株式会社シーオーメディカルが全国の28歳女性300人を対象に実施した「28歳女性の実態調査」(2021年)によると、生理中にパートナーにしてほしいことのトップ3は以下の通りでした。
1位 具合の悪い時はそっとしておいてくれる(90.3%)
2位 食事を作ってくれる(86.9%)
3位 掃除や洗濯をしてくれる(85.4%)
一方で、「してほしくない」とされた対応の1位は「元気づけようとテンション高く接してくれる」(64.2%)でした。
このデータから分かるのは、女性が求めているのは「特別な言葉」や「過度な心配」ではなく、静かに見守り、日常を支えてくれる存在だということです。なお、この調査は28歳女性を対象としたものであり、どんな対応がうれしいかは人によって、またその時の状態によっても異なります。一つの参考として受け取ってください(参考:株式会社シーオーメディカル「28歳女性の実態調査」2021年/PR TIMES)。
「理解してあげなきゃ」ではなく、知識をアンテナにする
生理に苦しむ女性を前に、男性はどういった心構えで対応すべきかを紹介します。
知識があるからこそ選べる、声かけの選択肢
女性が体調を崩しているときに「今、生理?」といった発言は配慮に欠ける言葉です。
しかし、中には知識不足からそう発言してしまう人もいるかもしれません。
では知識を身につけようとするなら、「女性のことを完璧に理解」しなければならないのでしょうか。決してそうではありませんし、プレッシャーを感じる必要もありません。
知識を身につけることは、「今日はなんとなくしんどそうだな」「もしかしたら無理をしているかもしれないな」と気づくためのアンテナになります。アンテナがあれば、かける言葉の選択肢も自然と変わってきます。
知識については、これからのsucowellでも紹介していきます。
察せる自分になるだけで、関係は変わる
男性にとってパートナーの女性が何も言わなくても、生理中の様子を見て「何かあったら言ってね」「今日はゆっくり休もう」とそっと見守るだけで、女性側は寄り添ってもらえているという安心感が生まれます。男性側も、肯定的に話を聴く姿勢を持つことにつながります。
解決策を提示したり、無理に元気づけたりする必要はありません。ただ変化に気づき、受け止めるアンテナを持つだけで、お互いの信頼関係は十分に変わっていきます。
まとめ:知識を得ながら察する自分に
生理は、人間が産まれるために必要なプロセスであり、男性だから無関係ということは決してありません。
生理中の体に何が起きているかを知ることは、パートナーシップの質を変える可能性があります。アンケートが示すのは、正解の行動リストではなく、相手の状態を想像しようとする姿勢そのものが伝わる、ということかもしれません。どんなサポートが嬉しいかは、人によって、そのときの状態によっても異なります。まず知ることが、最初の一歩になります。
参考・出典
- 経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」
- WHO「WHO statement on menstrual health and rights」
- 日本財団「日本財団18歳意識調査第44回 テーマ『女性の生理』を実施」
- ヘルスアンドライツ「7割の男性がSNSで生理を知る!『パートナーの生理はサポートするのが当然』SNSが変える男性の生理観」
- 株式会社シーオーメディカル「28歳女性の実態調査」2021年
